食いしん坊の失意と幸福

  • 2013.11.14 Thursday
  • 21:05



わたしがこの世で一番好きなカレーパンのあった半蔵門のパン屋さんが閉店したらしい。TVのNewオープンのパン屋さん特集で取り上げられていた店のひとつが、誰がどう見ても、あの、パン屋さんのあった場所にあるのだ。あわててWEBで調べたら、9月いっぱいで閉店したとのこと。愕然。

このパン屋さんの甘口カレーパンは、薄めのさっくり生地にカレー粉と福神漬けが練りこまれていて、具のカレーは野菜たっぷりで甘い。いっそカレーの宝石箱ともいうべき、他に類をみない、秀逸極まりないカレーパンだった。もう食べられないなんて、衝撃で震えが走った。


好きな飲食店が閉店するほど悲しいことはない。

飲食店に通う理由は様々あるが、そのシェフで、そのマネージャーさんで、そのスタッフさんで、だから好き、というケースがほとんどだ。つまりそのどれかが欠けてしまった瞬間に、もう二度と幸せは戻ってこない。

その昔ホテルで働いていたころそんな話をしていて、オーナーシェフのお店は結構大変なんだ、とボスに言われた。美味しいものを出したいけど、コストは抑えないと経営が立ち行かない。料理人の本能と経営者の視点、その兼ね合いはなかなか難しい。そんな話。

好きなお店は、いつまでもそこにあってほしい。そこでしか味わえない味と、過ごせない時間があるから。でも、ひとの技術や気持ちへの依存度が高いぶん、それは案外、儚いものだ。そして、わたしができることといったら、お店に足を運ぶこと、友人知人に勧めること、たまにお手伝いしたりすること、それくらいしかない。


企業生存率を考えると飲食店も例外でないことはわかっているが、他の産業以上に、飲食業界には代わりのきかないお店が多い気がする。思いついてふと立ち寄ったり、たまの贅沢で訪れたり。いいお店は大切にしたいし、長くお付き合いしたい。

あのお店のこの一皿。それだけで簡単に元気が出たりするのだ。食いしん坊とはそんな風に、単純にできているのだ。
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